2025.12.14 <00994>
iDeCo(イデコ)は、節税しながら老後資金を作れるとても魅力的な制度です。
でも実際の相談では、
「iDeCoって本当にお得なの?」
「加入したけど、出口が不安…」
「60歳以降どう受け取るのが正解?」
といった“出口戦略の不安”が圧倒的に多いのが現実。
実は、iDeCoで失敗する人のほとんどは
“出口のことを知らずに加入している” ことが原因です。
iDeCoは「始めるよりも、終わらせ方が重要」。
今日は、FPとして多くの相談を受けてきた経験から
iDeCoを始める前に必ず知ってほしい“出口戦略” を
わかりやすくお伝えします。
◆ 1. なぜiDeCoは“出口戦略”が重要なの?
iDeCoの大きな特徴は、
・60歳まで引き出せない
・受け取り方で税金が変わる
・他の退職金や年金と重なりやすい
という仕組みがあるからです。
この3つが、とても大きな意味を持ちます。
① 60歳まで引き出せない=生活設計に影響する
NISAと違い、途中で引き出すことができません。
だからこそ、老後資金づくりには最適ですが、
「いつ必要なお金なのか」を考えることが重要。
② 受け取り方で税金が大きく変わる
iDeCoの受け取り方は3種類。
・一時金
・年金
・一時金と年金の併用
どれを選ぶかで、税金が数十万円〜数百万円変わることもあります。
③ 退職金と重なると課税額が変わる
会社の退職金がある人は、
iDeCoの一時金と合算されて課税される可能性があります。
だからこそ、
“いつ・どう受け取るのが得か?”を考える必要があります。
◆ 2. 出口戦略のポイント①|「何歳で受け取るか」を決める
iDeCoは、60歳〜75歳まで受け取りが可能。
この年齢の幅が、出口戦略の肝です。
● 60歳で一気に受け取る人の特徴
・退職金が少ない
・住宅ローンの残りがある
・まとまった資金が必要
・働く予定がない
メリット:まとまった資金が手に入る
デメリット:退職金が大きいと課税が増える可能性あり
● 65歳以降にゆっくり受け取る人の特徴
・退職金が大きい
・在職しながら受け取りたくない
・年金と合わせて老後資金を安定させたい
メリット:課税を抑えやすい
デメリット:すぐには使えない
◆ 3. 出口戦略のポイント②|「一時金」か「年金」かを選ぶ
● 一時金で受け取る場合
退職所得控除が使えるため、税金が大きく減る可能性があります。
【退職所得控除のイメージ】
勤続20年まで:40万円 × 勤続年数
20年超:800万円 + 70万円 × 超過年数
退職金が少ない人ほど有利。
● 年金で受け取る場合
公的年金等控除が使えます。
毎年一定額が控除されるため、少額ずつ受け取ると税負担が小さくなります。
→ 退職金が大きい人は、こちらが有利になりやすい。
● 一時金+年金の併用
一部は退職所得控除を使い、
残りは年金として控除を使う。
→ 税金を最も抑えやすい“ハイブリッド型”。
◆ 4. 出口戦略のポイント③|退職金との重なりを避ける
iDeCoの出口戦略で最も重要なのがここ。
● 退職金(一時金)と同じ年に受け取ると…
控除が重なるため、
iDeCoの非課税枠が小さくなり、課税されやすくなります。
● 解決策は“受け取り年をずらす”こと
退職金が大きい人は、
iDeCoを65歳以降に受け取ると控除が最適化されやすいです。
◆ 5. 出口戦略を考える前に、これだけは決めてほしい
① iDeCoは“老後資金のどの部分”を担うか?
・生活費?
・余裕資金?
・医療費の備え?
・長生きリスク対策?
役割を明確にすると、受け取り方が決まります。
② 退職金はどれくらいになりそう?
退職金の見込みがわかると、
一時金の使い方が大きく変わります。
③ 65歳以降は働く予定?
働きながら受け取ると税金が増える場合も。
◆ 6. iDeCoを使うと“得する人”はこんな人
● 退職金が少ない or ない人
→ 一時金の控除がフルで使えるため、有利。
● 企業型DCがなく、自分で老後資金を作る必要がある人
● 今のうちに節税したい人(所得控除)
● 長期で積み立てられる人
◆ 7. iDeCoは“使い方を間違えなければ最強の制度”
iDeCoは、
・積み立てる時に節税
・増えた分も非課税
・受け取り方でさらに節税
という“節税の三段構え”になっている制度。
ただし、出口戦略を知らないと
せっかくのメリットを活かしきれません。
◆ さいごに:iDeCoは“終わらせ方”で差がつく
iDeCoは、始めるのは簡単。
でも、本当に大事なのは
“出口をどうするか”
・いつ受け取る?
・一時金?年金?
・退職金と重なる?
・働きながら受け取る?
この答えで、将来手元に残るお金が大きく変わります。
あなたの人生に合わせた出口戦略を考えることで、
iDeCoはあなたの老後を守る“強力な味方”になります。
焦らず、あなたに合った最適ルートを選んでくださいね。