2025.9.18 <00907>
はじめに:退職は「ゴール」ではなく「新しいスタート」
「60歳で定年退職を迎えたら、私の人生はどう変わるんだろう?」
50代後半になると、誰もが一度は考えるテーマです。
長年働いてきた会社を退職することは、人生において大きな節目。
これまでの「仕事中心の生活」から、「自分の時間をどう生きるか」に切り替わります。
しかし、退職後は同時に収入が減る・時間が増える・人との関わり方が変わるという大きな変化が訪れます。
この変化にうまく対応するためには、
「第二の人生設計」=ライフプラン作りが欠かせません。
この記事では、60歳からの人生を安心して楽しむために必要な
家計管理とライフプランのポイントをわかりやすくお伝えします。
1.「第二の人生設計」が必要な理由
① 退職後30年という長い時間
日本人の平均寿命は、男性81歳、女性87歳。
65歳から数えると、20年以上の時間があります。
もし夫婦そろって健康に過ごせれば、退職後30年という長い時間を生きることになります。
これは、現役時代よりも長いかもしれません。
この長い時間を「なんとなく」で過ごすのではなく、
自分らしく生きるための設計図を持つことが大切です。
② 老後資金の不安を解消するため
「老後2,000万円問題」という言葉が話題になりましたが、
実際には家庭ごとに必要なお金は異なります。
総務省の家計調査によると、
夫婦2人での老後生活費は月25~30万円程度。
30年間では、9,000万円前後が必要になる計算です。
もちろん、そのすべてを貯金でまかなう必要はありません。
年金や退職金、運用益などを組み合わせて考えますが、
数字で見える化することで「足りる・足りない」がはっきりします。
③ 自分の時間を有意義に過ごすため
退職すると、急に自由な時間が増えます。
「やりたいことをやろう!」と思っても、
具体的な計画がないと、なんとなく毎日が過ぎてしまいます。
- 旅行や趣味を楽しむ
- ボランティアや地域活動に参加する
- 孫や家族との時間を大切にする
こうした「やりたいこと」を実現するためにも、
ライフプランに時間の使い方を組み込むことが重要です。
2.60歳から始める家計管理の3つのステップ
退職後は、現役時代とお金の流れが大きく変わります。
ここからは、家計管理のポイントを3つのステップで解説します。
STEP1:支出を見える化する
退職後の生活費を考えるうえで、まずは現状把握が大切です。
- 1か月にいくら使っているか
- 何にどれくらい使っているか
- 固定費と変動費の割合
例えば、現在の生活費が30万円でも、
通勤費や社交費が減ることで、退職後は25万円程度になるケースもあります。
ポイント
家計簿が苦手な方は、まず1か月分のレシートを保管するだけでもOK。
支出を紙に書き出すだけで、意識が変わります。
STEP2:退職金・年金・貯蓄を整理する
次に、退職後の「収入の柱」を確認しましょう。
主な収入源
- 公的年金(老齢基礎年金+老齢厚生年金)
- 退職金(一時金または年金形式)
- 運用収入(投資信託・不動産など)
- パート収入(再雇用や短時間勤務など)
「毎月いくら入ってくるのか」を把握したうえで、
生活費と照らし合わせることがポイントです。
STEP3:キャッシュフロー表を作成する
キャッシュフロー表とは、
これからの収入・支出・貯蓄額を年ごとに見える化した表です。
作るとわかること
- 何歳まで資金が持つか
- どの時期にお金が不足するか
- 投資や働く期間を延ばす必要があるか
例
65歳時点で貯蓄2,000万円
年間支出300万円
→ 10年間で3,000万円必要
→ 不足額1,000万円が早めにわかる!
自分で作るのが難しい場合は、ファイナンシャルプランナーに依頼するのもおすすめです。
3.「第二の人生」を豊かにするライフプランの考え方
① 健康を軸に考える
どんなにお金があっても、健康を失えば楽しむことはできません。
60歳以降は、医療費・介護費が増える傾向にあります。
- 健康診断や運動習慣を取り入れる
- 医療保険や介護保険を見直す
- 生活習慣病予防に投資する
健康管理もライフプランの一部として考えましょう。
② 「やりたいことリスト」を作る
第二の人生を楽しむために、まずは**「やりたいこと」を書き出す**ことがおすすめです。
例)
- 世界遺産を3か所巡る
- 孫と毎年旅行に行く
- 週2回はスポーツジムに通う
- 図書館でボランティア活動をする
これを実現するために、時間とお金をどう配分するかを考えます。
③ 働き方を柔軟に考える
退職後も「完全リタイア」だけが選択肢ではありません。
- 再雇用で週3日だけ働く
- 趣味を活かして小さく起業する
- 在宅ワークでゆるく収入を得る
働くことは、収入を得るだけでなく、
社会とのつながりや生きがいにもつながります。
4.老後資金を守るための運用術
退職後は、運用方法を大きく変える必要があります。
現役時代のように「積極的に増やす運用」ではなく、
「減らさない運用」が基本です。
① 安全資金と運用資金を分ける
- 安全資金:5~10年分の生活費を現金や定期預金で確保
- 運用資金:残りを投資信託や債券で運用
例:退職金2,000万円
- 800万円 → 安全資金
- 1,200万円 → 運用資金
② おすすめ運用例
- 個人向け国債(変動10年):元本保証で安心
- 債券型投資信託:リスクを抑えながら少しずつ増やす
- バランス型投資信託:株式と債券を組み合わせて分散投資
③ 注意すべきポイント
退職金が入ると、金融商品の勧誘が増えます。
特に以下には注意してください。
- 「必ず儲かる」と断言する投資話
- 高額な一括保険契約を急かされる
- 親しい人からの投資勧誘
不安なときは、第三者の専門家に相談するのが安心です。
5.60歳からの人生を充実させる3つの鍵
鍵1:数字で安心を見える化する
キャッシュフロー表で、将来のお金の流れを「見える化」することが第一歩。
漠然とした不安を解消し、前向きな気持ちになれます。
鍵2:夢と現実をバランスよく設計する
「やりたいこと」だけでなく、「必要なお金」も同時に考えることで、
実現可能なライフプランが出来上がります。
鍵3:定期的に見直す
ライフプランは一度作ったら終わりではありません。
年1回は見直して、状況に合わせて更新しましょう。
まとめ:60歳からの人生を自分らしくデザインする
退職は「働く場所を卒業する日」であって、
人生を終える日ではありません。
むしろ、60歳からの30年間こそが、
自分のために自由に生きられる貴重な時間です。
- 家計を見える化して安心を得る
- 健康を守りながらやりたいことを実現する
- 働き方や運用方法を柔軟に考える
これらを組み合わせて、
あなたらしい「第二の人生設計」を描いていきましょう。
将来を数字で見える化し、前向きな気持ちで新しい一歩を踏み出せば、
退職後の人生はもっと豊かでワクワクしたものになります。