2025.8.28 <00886>
1. 退職金は「老後資金の柱」
日本では、長年会社に勤め上げた人に「退職金」が支給されます。
厚生労働省のデータによると、大企業の退職金平均は 2000万円前後、中小企業でも 1000万円前後 が目安です。
これは一生に一度まとまって手にする大金。
だからこそ「どう使うか」で老後の安心度は大きく変わります。
2. 退職金をムダにしてしまう人の特徴
① 計画なしで使ってしまう
旅行やリフォーム、大きな買い物などで、気づけば残高が半減。
② 銀行に預けっぱなし
定期預金の金利は0.2%程度。
2000万円を預けても年間利息は40000円ほどつきますが、
今のインフレでは効果は薄くなります。
③ 詐欺やリスク商品に手を出す
「必ず増える」「元本保証で利回り5%」などの話に惑わされ、大切な退職金を失う人も。
3. 退職金の賢い使い道 ― 3つの優先順位
退職金はまず 「守る」→「備える」→「増やす」 の順に考えるのが賢い方法です。
ステップ1:守る(生活防衛資金の確保)
- 生活費の1〜2年分を普通預金でキープ
- 突発的な医療費や修繕費に備える
ステップ2:備える(大きな支出に対応)
- 住宅リフォーム(老後仕様に改修)
- 車の買い替え
- 子や孫への教育資金援助
→ これらは事前に予算を立て、退職金から切り出しておくと安心です。
ステップ3:増やす(資産運用)
残りを「老後資金」として安全性の高い方法で運用します。
4. 退職金の運用で注意すべき3つのポイント
① 一括投資は避ける
まとまった資金を一度に投資すると、タイミングによっては大きく損をするリスクが。
分割して運用に回す(ドルコスト平均法) のが安心です。
② 元本保証型と運用型のバランスを取る
- 元本保証:預金・個人向け国債
- 運用型:投資信託・債券・分散型ファンド
→ 生活費は元本保証、余裕資金は運用にまわす、という分け方が安心。
③ リスクを取りすぎない
老後は収入が限られるため、減らすリスクを最小限に抑えることが最優先です。
5. 退職金のおすすめ運用方法
① 個人向け国債(変動10年)
- 元本保証
- 銀行預金よりは高金利
- 1万円単位で購入可能
② つみたてNISA
- 年間120万円までの投資が20年間非課税
- 長期運用に適した投資信託が対象
- 老後資金をじっくり育てたい人におすすめ
③ iDeCo
- 掛金が全額所得控除 → 節税効果大
- 60歳以降に年金として受け取り可能
- 「退職金+iDeCo」で老後資金を二重に強化できる
④ 分散型インデックスファンド
- 世界中の株式・債券に広く投資できる
- 年3〜5%のリターンが期待できる
- 一括ではなく「分割購入」が鉄則
6. 退職金の具体的な配分例
ケース1:退職金2000万円の場合
- 生活防衛資金(現金) 400万円
- 将来の支出(リフォーム・車など) 300万円
- 安全資産(国債・定期) 500万円
- 運用資産(投資信託など) 800万円
👉 守りと攻めをバランスよく。
ケース2:退職金1000万円の場合
- 生活防衛資金 200万円
- 将来の支出 200万円
- 安全資産 300万円
- 運用資産 300万円
👉 無理に投資比率を上げず、確実に守ることを優先。
7. 退職金を長持ちさせる取り崩し方
「どう取り崩すか」も重要です。
① 4%ルールを参考に
- 資産の4%を毎年取り崩す → 30年間資産が持つとされる
- 例:2000万円の退職金 → 年80万円(月6.6万円)取り崩し
② 年金とのバランスを取る
- 年金で生活費の大部分をカバー
- 退職金は「不足分+特別支出」にあてる
8. 退職金をムダにしないための心得
- まずは現金で安心を確保する
- 大きな出費をあらかじめ切り分ける
- 投資は分割・分散・低リスクで
- 詐欺や「おいしい話」に乗らない
- 計画的に取り崩す
まとめ
退職金は一生に一度の大金。
無計画に使えばあっという間になくなりますが、「守る」「備える」「増やす」 の3ステップを踏めば、老後の安心資金として大きな支えになります。
特に40代・50代のうちに「退職金をどう使うか」をイメージしておくことが、老後の笑顔につながります。