2025.8.13 <00871>
1. 多くの女性が抱える「2つの大きな目標」
「子どもの教育費もしっかり準備したい」
「でも自分たちの老後資金も不安…」
これは40代以降の女性の家計相談で、必ずといっていいほど出てくるテーマです。
教育費も老後資金も人生の大きな支出。しかも両方同時に準備する時期があるため、
「どっちを優先するべき?」という迷いが生まれます。
2. 教育費と老後資金の“特徴の違い”を知る
まずは、この2つのお金の性質を比べてみましょう。
項目 | 教育費 | 老後資金 |
---|---|---|
必要時期 | ほぼ確定(入学年など) | 長期的で不確定要素あり |
金額の目安 | 公立:1人約1,000万円前後 私立:1人約1,500〜2,000万円 | 夫婦で老後生活30年と仮定すると2,000〜3,000万円以上 |
優先度 | 子どもの進学希望によって変動 | 生活基盤のため必須 |
調達方法 | 貯金・奨学金・教育ローン | 年金+貯蓄+投資運用 |
ポイント
- 教育費は期限が決まっているため、計画的な積立が必要。
- 老後資金は先送りにしやすいが、複利効果を得るためには早く始めるほど有利。
3. 優先順位の基本ルール
ファイナンシャルプランナーとして、両立の原則はこうです。
1.自分たちの老後資金を確保する計画を先に立てる
2.そのうえで、余力を教育資金へ回す
3.足りない部分は奨学金や教育ローンなど
”次世代も使える制度”を活用する
この理由はシンプルです。
老後資金は他人から借りられないからです。
教育費は奨学金・ローン・給付型奨学金などの制度を利用できますが、老後の生活費は自分で用意するしかありません。
4. 家計診断:あなたはどのタイプ?
簡単な質問で、今の資金配分の傾向をチェックしましょう。
- ✅ 貯蓄は教育費専用口座ばかりで、老後用はほぼゼロ
- ✅ NISAやiDeCoは「よくわからないからまだ始めていない」
- ✅ 年金定期便は届くけど中身を見ていない
- ✅ 子どもの大学進学費用は明確に積み立てているが、自分たちの60歳以降は計画なし
2つ以上当てはまる場合、教育費偏重タイプの可能性があります。
逆に、教育費への積立が少なく、老後資金ばかり積み上げている場合は老後重視タイプ。
どちらかに偏りすぎていないかが第一の見直しポイントです。
5. 資金振り分けのステップ
ステップ1:必要額を「数字」で把握
- 教育費 → 子どもの年齢から逆算し、必要時期と合計額を計算
- 老後資金 → 夫婦の希望生活費×余命年数-年金受給見込み額
例:
- 大学費用 4年間合計 500万円
- 老後30年×月25万円=9,000万円
- 年金見込み月18万円 → 老後不足分は月7万円×30年=約2,520万円
ステップ2:今の積立ペースを確認
- 教育費:進学時期までに目標額に届くか
- 老後資金:60歳までに必要額の7〜8割は確保できそうか
ステップ3:配分ルールを決める
一般的な目安はこうです。
- 手取りの15% → 老後資金(NISA・iDeCo含む)
- 手取りの10% → 教育費(学資保険・積立定期など)
- 残り → 生活費+短期目標資金(旅行・家電更新など)
ステップ4:制度と商品を活用
- 老後資金 → iDeCo(節税+運用)、つみたてNISA(長期投資)
- 教育費 → 学資保険、ジュニアNISA(2023年終了分の運用継続)
- 必要に応じて奨学金制度の下調べ
ステップ5:毎年見直す
子どもの進学状況や家計変動に応じて、配分率を変更します。
6. 事例:Aさん(45歳)のケース
- 高1と中2の子ども
- 貯蓄1,000万円(教育費口座800万円、老後資金200万円)
- 老後資金はほぼ手付かずで不安
改善プラン
- 教育費の目標額に到達しているため、今後は教育費積立を月2万円に減額
- 浮いた月3万円をiDeCo+つみたてNISAに回す
- 5年後までに老後資金を+1,800万円積み増し予定
7. 資金振り分けの“落とし穴”
- 教育費のために老後資金を完全にストップ
- 高利率の教育ローンを安易に利用
- 投資を「教育費」で行い、短期で売却せざるを得なくなる
いずれも資金効率を悪化させる要因です。
8. 今日からできる小さなアクション
- 年金定期便を開封し、老後不足額を計算
- 教育費と老後資金の口座を分ける
- 毎月の積立比率を決めて自動化する
9. まとめ
- 老後資金は他人から借りられないため、優先順位は老後資金が先
- 教育費は制度やローンを活用しながら計画的に
- 両立のカギは「数字の見える化」と「毎年の見直し」
10. 一緒に“最適バランス”を見つけましょう
もし「自分の家計ではどう配分すべきかわからない…」と感じたら、
一度キャッシュフロー表を作ってみませんか?
数字で未来を見える化することで、迷いが減り、
「何から始めるべきか」がはっきりします。