2025.10.10 <00929>
「最近、教育費が増えて家計が苦しい…」
これは40〜50代のご相談の中で最も多い言葉です。
教育費は、ある日突然やってくる“家計の波”。
塾・部活・受験・進学と、子どもの成長に合わせて出費が次々と重なります。
しかし、事前にその波を見通しておくことで、“苦しい家計”を“整った家計”に変えることができます。
■「教育費の波」は想像以上に大きい
文部科学省のデータを見ても、教育費のピークは高校〜大学です。
特に高校以降は、
- 部活・制服・交通費
- 塾代(年間30〜50万円)
- 受験・入学準備金(20〜50万円)
- 授業料(月3〜10万円)
が重なり、年間100万円を超えることも珍しくありません。
さらに、複数のお子さんが重なると、家計への影響は2倍・3倍に。
実際には「教育費貧乏」と呼ばれる時期が存在します。
■家計を圧迫する3つの共通パターン
FP相談の現場で見えてくる“教育費で苦しくなる家庭”には、いくつかの共通点があります。
| パターン | 特徴 | 結果 |
|---|---|---|
| ① 計画なし型 | 教育費の全体像を把握していない | 予想外の支出で家計赤字に |
| ② 感情優先型 | 習い事・塾を「子どものために」と増やす | 支出が雪だるま式に膨張 |
| ③ 一括依存型 | ボーナスや学資保険だけで賄おうとする | キャッシュ不足で貯蓄が減る |
「子どものため」という気持ちは尊いもの。
しかし、“気持ちとお金のバランス”が崩れると、家計が悲鳴をあげます。
■教育費は“固定費化”しやすい落とし穴
教育費の怖いところは、一度始めるとやめにくい点。
習い事や塾代などが“固定費化”し、家計を圧迫し続けます。
例えば、
- 塾代月2万円 → 年24万円
- 習い事2つで月1万円 → 年12万円
- 合計36万円が毎年続く
これを10年続けると、実に360万円。
しかもこの支出は、食費や光熱費のように“見直し対象”になりにくいのです。
「成績が落ちたらどうしよう」「本人がやる気をなくしたら」と、親の心理がストップをかけてしまうからです。
■対策①:支出の「見える化」と「分離」
まず取り組みたいのは、教育費の見える化。
教育費を“生活費と混在”させている家庭は、どれだけ使っているか分からなくなります。
おすすめは──
- 教育費専用の口座を作る
- 児童手当・ボーナス・積立をその口座に集約
- 支出もそこから行う
こうすることで、「今どれだけ使っているか」「今後いくら必要か」が一目でわかります。
見える化=コントロール可能にすること。
家計改善の第一歩はここから始まります。
■対策②:「今」と「将来」を同時に守る家計バランス
教育費を優先しすぎると、老後資金が後回しになります。
実際、FP相談では「子どもの進学が終わったら貯金がゼロ」というケースも珍しくありません。
教育費・住宅費・老後資金は“家計の三大支出”。
この3つのバランスを意識していないと、どこかが崩れます。
目安としては──
- 教育費:手取りの10〜15%
- 住宅費:25〜30%
- 老後資金・貯蓄:10〜15%
これを超えるようなら、配分の見直しを。
教育費は「未来への投資」ですが、“親の人生”も同じくらい大切にしていいのです。
■FPが伝えたい、“教育費で苦しまない考え方”
教育費は“家計の敵”ではありません。
むしろ、“使い方をデザインできるお金”です。
大切なのは、
教育費を「増える支出」ではなく、「未来を選ぶ予算」として管理すること。
「何に」「どこまで」かけるのかを家族で話し合うことで、迷いが減り、心もラクになります。
教育費の波は避けられません。
でも、波の高さを“見える化”し、準備しておけば、溺れることはありません。
家計は“整える力”で変わります。
あなたの教育費も、今日から整えることができます。