“年金生活=節約生活”じゃない

2025.11.18 <00968>

1. 「年金生活は節約しなきゃ」…本当にそう?

年金生活に入るタイミングで、多くの人がこう思い込みます。

「贅沢してはいけない」
「節約生活に切り替えないと続かない」
「旅行や外食は我慢しなきゃ」

でもファイナンシャルプランナーとして
数多くの60代・70代の家計を見てきたからこそ言えることがあります。

“節約=安心”ではない。
むしろ“必要のない節約”が心のゆとりを奪っている。

老後は、我慢の時代ではありません。
「ゆとりを自分でつくる時代」です。

年金に合わせた生活をすることは大事ですが、
「我慢し続ける暮らし」は幸せになれません。

では、どうすればゆとりをつくれるのか?
その答えは、“支出を変える”よりも“考え方を変える”ところにあります。


2. ゆとりを生む考え方①

「毎月」ではなく「年間」で家計を見る

年金生活でいちばんやってはいけないのは、
“1ヶ月だけ”で家計を見ること。

なぜなら老後の支出は、

  • 医療費
  • 旅行
  • 冠婚葬祭
  • 家電の買い替え
    など“年に何回か発生する不定期な支出”が多いからです。

✔ 老後は「年間管理」が基本

たとえば

  • 旅行:10万円
  • 冠婚葬祭:5万円
  • 医療費:8万円
  • 修繕費:5万円
    合計28万円
    → 月にすると 2万3,000円

毎月の生活費だけを見て
「赤字だ!足りない!」と焦えるよりも、
年間の支出として整えておけば、
“先が見える安心”が手に入ります。


💡こう考えると、ゆとりが生まれる

「今月は予定より使ったけど、来月で調整できる」
「年内の予算内に収まっているから大丈夫」

“毎月の黒字”にこだわらないことで、
心の余白がどんどん増えます。


3. ゆとりを生む考え方②

「楽しみ費」は先取りしておく

老後のお金の使い方で大切なのは、
「楽しみのためのお金」を“先に”確保すること。

多くの人は、
「余ったら使おう」
と考えてしまいますが、これは逆効果。

なぜなら、
“余り”はほとんど生まれないからです。


✔ 年金生活で最も効く仕組み

「楽しみ費」を年初に分けておくこと。

例)年間12万円
→ 月1万円の楽しみ費
(外食・趣味・日帰り旅行などに使える)

これだけで

  • 使っても罪悪感がない
  • “我慢している感じ”が消える
  • 生活の満足度が大幅にアップ

というメリットがあります。


💬FPが見てきた事実

楽しみ費を“先取り”した人の方が、
実際は

  • 無駄遣いが減り
  • 心が安定し
  • 結果的に支出が抑えられる

という“好循環”が生まれていました。


4. ゆとりを生む考え方③

「取り崩す=悪いこと」ではないと知る

年金生活に入ると、多くの人が

「貯金を減らしたくない」
と思い込みます。

しかしFPの考え方は違います。

老後資金は“使うためにある”。
減ることは“悪いこと”ではない。

むしろ、
計画的に取り崩していくことで、
老後は豊かに、安心して暮らせます。


✔ ゴールは“減らないこと”ではなく、“長くもたせること”

そのために大事なのが取り崩しのルールです。

FPが推奨するのはこの目安👇


📘 年間取り崩しの上限=総資産の3〜4%

例)貯蓄2,000万円
→ 年60〜80万円(=月5〜7万円)

この範囲で使う分には、
老後30年以上資産が持ちやすい構造になります。


💡取り崩しても安心な理由

  • 年金が生活費の基盤になっている
  • 「計画的に使う=質の高い老後」につながる
  • 不安をため込むより健康と幸福にプラス

✔ よくある“損した気分”を減らす考え方

「貯金は“老後を支えるスタッフ”」
「安心を買うためにお金が働いてくれる」

こう考えると、お金を使うことへの罪悪感が和らぎます。


5. ゆとりを生むのは、「使い方」の設計

節約生活は、我慢が積み重なって心が縮こまってしまいます。

一方で、“使い方を設計した生活”はこうなります👇

  • 毎月の支出が安定
  • 突発的な支出にも慌てない
  • 楽しみも計画に入っている
  • お金に振り回されない
  • 将来が読みやすい

年金生活に本当に必要なのは、
「節約」ではなく「設計」。


6. ゆとりある年金生活をつくる「3つの実践」

今日からできる行動に落とし込むと、
次の3つになります。


① 年間家計をつくり、年単位で管理する

→ 不安が消え、赤字月がなくなる。


② 楽しみ費は“先取り袋(口座)”で確保

→ 我慢しない。後悔しない。


③ 取り崩しの基準(総資産の3〜4%)を決める

→ 減る不安が消え、堂々と使える。


7. まとめ:「節約」ではなく「整えた家計」がゆとりをつくる

年金生活は、節約に追われる日々ではありません。
むしろ、人生の中で最も「自分のために時間を使える」時期。

だからこそ、
その時間を心豊かに過ごすために、
お金の考え方を“ゆとり型”に変える。


💡FPが伝えたいこと

老後の安心は、収入の多さではなく、
「どんな考え方で家計を整えているか」で決まる。

節約ではなく、
“ゆとりのための設計”へ。

今日の一歩が、明日の安心につながります。

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