2025.9.24 <00913>
はじめに:年金額を「見える化」することが第一歩
「老後の年金、いくらもらえるの?」
この質問に、すぐ答えられる方は意外と少ないものです。
多くの方は、なんとなく不安を抱えながらも、
「自分ごと」として具体的な金額を確認できていません。
でも実は、将来の年金額は意外と簡単に調べられます。
それを知ることが、老後資金の準備をスタートさせる最初の一歩です。
この記事では、
- 自分の年金額を確認する方法
- 簡単なシミュレーションのやり方
- モデルケースによる具体例
をわかりやすくご紹介します。
ステップ1:ねんきん定期便をチェック
ねんきん定期便とは?
毎年誕生月に届くハガキ、これが「ねんきん定期便」です。
ここには、現時点での年金加入記録と将来もらえる見込み額が記載されています。
まずはこの書類を確認することが、年金額を知る一番シンプルな方法です。
チェックするポイント
- これまでの納付額合計
自分がこれまで年金保険料をどれだけ納めたかがわかります。 - これまでの加入月数
国民年金・厚生年金に何か月加入しているか確認。 - 将来もらえる年金額(見込み額)
65歳から受給を開始した場合の予想額。
ハガキの見方例
例えば、以下のように書かれていたとします。
- 国民年金:480か月(満額)
- 厚生年金加入月数:300か月
- 老齢年金見込み額:月額17万円
この場合、夫婦2人分なら
17万円 × 2 = 34万円/月 が年金収入の目安となります。
ステップ2:ねんきんネットでより詳しく
「ねんきんネット」は、年金機構が提供する公式サービスです。
ネット上で自分の年金情報をいつでも確認でき、シミュレーション機能も充実しています。
登録方法
- ねんきんネット公式サイト にアクセス
- 基礎年金番号・メールアドレスを入力して利用登録
- 数日後に送られてくる「仮パスワード」でログイン
マイナンバーカードがあれば、その日のうちに登録可能です!
できること
- 将来の年金見込み額をシミュレーション
- 受給開始年齢を変更した場合の金額比較
- 年金記録の確認・訂正申請
- 紛失しやすい書類をデータで保管
ステップ3:簡単シミュレーションをしてみよう
ここからは、実際にシミュレーションしてみましょう。
ここでは「夫婦2人、会社員と専業主婦」というよくあるケースを例にします。
モデルケース①:夫婦2人(夫60歳定年・妻専業主婦)
- 夫:厚生年金加入 40年
- 妻:国民年金 第3号被保険者 40年
将来の年金額(65歳から受給)
- 夫:月14万円
- 妻:月6.8万円
- 合計:月20.8万円
老後の生活費が25万円だとすると、
毎月4.2万円の不足 になります。
モデルケース②:共働き夫婦
- 夫:厚生年金加入 40年
- 妻:厚生年金加入 30年
将来の年金額(65歳から受給)
- 夫:月14万円
- 妻:月10万円
- 合計:月24万円
老後の生活費が27万円なら、
毎月3万円の不足 です。
不足分をどう埋める?
不足分は、退職金・貯蓄・資産運用などで補う必要があります。
老後が20年間続くと仮定した場合、
- 毎月4万円の不足 × 12か月 × 20年 = 960万円
つまり、年金以外に 約1,000万円 の準備が必要です。
年金額を増やす3つの方法
「自分の年金額が思ったより少ない…」
そんなときは、以下の3つの方法を検討してみましょう。
① 繰下げ受給
年金の受給開始を65歳から70歳に遅らせると、
1か月繰り下げるごとに 0.7%増額 されます。
- 65歳 → 月額15万円
- 70歳 → 月額21.3万円(最大42%アップ)
② 任意加入
60歳以降も国民年金を追加で納付することで、受給額を増やせます。
特に60歳前後で厚生年金を外れた方におすすめです。
③ 付加年金
自営業やパート主婦が対象。
月400円を追加で納めることで、将来の年金額が大きく増えます。
老後資金計画の基本式
老後資金は、以下の式で考えるとわかりやすくなります。
必要な老後資金 = 老後の生活費 - 公的年金 × 老後期間
例:夫婦2人・老後20年
- 老後の生活費:月25万円
- 公的年金:月20万円
- 老後期間:20年
(25万円-20万円)× 12か月 × 20年 = 1,200万円
不足額は1,200万円
これを現役時代にどのように準備するかが、家計改善のポイントです。
40代・50代が今すぐやるべきこと
- 自分の年金額を確認する
ねんきん定期便・ねんきんネットを活用 - 老後の生活費を試算する
現在の家計から「老後に必要な生活費」を算出 - 不足分を貯蓄・運用で補う計画を立てる
FP相談を活用するのもおすすめ
自分だけで試算するのが不安な場合は、
ファイナンシャルプランナーに相談して、キャッシュフロー表を作成してみましょう。
- 老後の年金受給額
- 退職金
- 教育費の残り
- 医療・介護費用
これらを一枚の表にまとめることで、将来のお金の流れがスッキリ見える化できます。
まとめ:まずは「知ること」からスタート!
- 年金額は、ねんきん定期便やねんきんネットで簡単に確認できる
- 65歳から受給開始が基本だが、繰下げなどで増額も可能
- 老後資金は「生活費-年金額」で不足分を把握する
- 不足分は現役時代の貯蓄・運用で準備
漠然とした不安は「見える化」することで解消されます。
自分の年金額を知ることが、老後資金づくりの第一歩です