2025.10.9 <00928>
「教育資金を貯めるなら、学資保険がいいの?それとも新NISA?」
ここ数年、この質問が急増しています。
理由はシンプル。金利が低い今、**“どちらが得か”**を見極めるのが難しいからです。
■教育資金づくりの定番「学資保険」と注目の「新NISA」
かつては「教育費=学資保険」が常識でした。
しかし、近年は新NISA(2024年開始)によって“投資で貯める教育資金”が主流になりつつあります。
2つの特徴を簡単に整理すると──
| 項目 | 学資保険 | 新NISA(つみたて) |
|---|---|---|
| 性質 | 保険(貯蓄型) | 投資(運用型) |
| 元本保証 | あり(条件あり) | なし |
| 利回り | 約1〜2%(返戻率ベース) | 3〜5%(想定) |
| 税制メリット | 所得控除対象(わずか) | 運用益非課税 |
| 途中解約 | 不利(元本割れあり) | いつでも換金可 |
| 万一時保障 | あり | なし |
どちらも教育費を目的としていますが、“性格がまったく違う”お金の器です。
■学資保険のメリット・デメリット
学資保険の一番の魅力は、**「確実に貯まる安心感」**です。
毎月決まった金額を払うことで、確実に将来の受取金が用意されます。
また、契約者に万一のことがあっても保険会社が払い込みを代行してくれるため、保障を兼ねた貯蓄として安心です。
ただし、
- 途中解約すると元本割れ
- 返戻率は105〜110%程度(利回り1%前後)
- 受取時期が固定されている(柔軟性がない)
というデメリットも。
つまり、「確実に貯めたいけど増やすのは目的ではない人」に向いています。
■新NISAで教育資金を作るメリット・リスク
一方、新NISAの強みは、**「運用益が非課税」**という点。
教育費のように長期で使うお金は、運用との相性が非常に良いのです。
例えば、
- 毎月1万円を18年間、年利4%で積み立てると約310万円
- 同じく預金なら約216万円(差額約100万円)
長期間コツコツ積み立てることで、複利の効果が大きく働きます。
また、いつでも引き出せる自由度も魅力です。
ただし、
- 元本保証はない
- 相場下落時は評価額が下がる
- “増える時期”をコントロールできない
というリスクも伴います。
教育資金のピーク(高校・大学時期)に下落が重なると、計画が狂う可能性もあります。
■FPが見た“実際に後悔しやすい選択”
実際の相談では、「どちらか一方に偏りすぎて後悔した」ケースが多いです。
- 学資保険だけにして、増えないまま物価上昇に追いつけなかった
- NISAだけにして、相場下落で受取時期に減ってしまった
教育費は「必要時期が決まっている」ため、安全と成長の両立が必要です。
FPとしておすすめなのは、
「ベースは安心(学資保険 or 定期積立)、成長部分は新NISA」
というハイブリッド戦略です。
例えば、教育費全体を400万円と見積もり、
- 200万円は学資保険で確実に確保
- 200万円は新NISAで運用
と分けることで、リスクとリターンのバランスが取れます。
■家計と性格で選ぶ「あなたに合う方法」
最後に、FPとして多くのご家庭を見てきた経験から言えるのは──
性格・家計状況によって“合う貯め方”は違うということです。
| タイプ | 向いている方法 |
|---|---|
| コツコツ確実派 | 学資保険・定期預金 |
| 時間を味方につけたい派 | 新NISA(投資信託) |
| リスクを分散したい派 | 学資保険+新NISA併用 |
| 将来に柔軟さを残したい派 | 新NISA中心+現金サポート |
「どちらが得か」よりも、「どちらなら続けられるか」。
教育費は“20年のマラソン”です。安心して走り続けられる方法を選びましょう。