2025.10.12 <00931>
「夫婦で働いているのに、なぜかお金が残らない…」
この悩みは、共働き家庭にとても多い現実です。
収入が増えているのに貯金ができない──その原因の多くが、教育費の見えない膨張にあります。
FP相談でも、「気づいたら教育費が家計の半分以上を占めていた」というケースは珍しくありません。
■「共働きなのに貯まらない」家庭が急増中
総務省の家計調査によると、共働き世帯は年々増加しています。
しかし、貯蓄率は思ったほど上がっていません。
理由は明確です。
共働きで収入が増えると、
- 教育費
- 外食・中食費
- 習い事や塾代
が比例して増える傾向にあるからです。
つまり、“使う余裕”ができるほど、支出も拡大する。
教育費はその代表的な項目です。
■教育費が“家計のブラックボックス”になっている?
共働き家庭では、「誰がどの費用を負担しているか」が曖昧になりやすいです。
例えば──
- 夫が学校関係の支払い、妻が習い事を担当
- それぞれの口座から引き落とし
- 集計していないため全体が見えない
この状態では、教育費が毎月いくら出ているか把握できないのです。
結果として、「貯まらない理由」が不明なままになってしまいます。
■貯まらない共働き家庭に共通する3つの落とし穴
| 落とし穴 | 内容 | 対策の方向性 |
|---|---|---|
| ① 教育費が生活費と混ざっている | 何にいくら使っているか不明 | 教育費専用口座を作る |
| ② 習い事・塾が“なんとなく続いている” | 効果・目的を見直していない | 年1回の費用棚卸し |
| ③ ボーナス頼みの家計 | 毎月のキャッシュフローに余裕なし | 月単位で積立仕組みを導入 |
FPの現場では、家計の「見えない支出」を整理するだけで、年間30〜50万円の余裕が生まれるケースもあります。
教育費は“愛情”が詰まったお金。
だからこそ、数字で冷静に見ることが大切なのです。
■FPがすすめる教育費の見直しステップ
教育費を整理するには、「現状把握 → 分離 → 仕組み化」という3ステップが効果的です。
① 現状を見える化する
1か月の教育費をすべて書き出します。
学校関係、塾・習い事、交通費、昼食代まで細かく。
思った以上に出ていることに驚く方が多いです。
② 教育費専用口座を作る
児童手当・積立・ボーナスをすべてこの口座に集約。
使う時もこの口座から。
「いくら使ったか」「残高はどのくらいか」が一目でわかります。
③ 仕組みで貯まる環境をつくる
- 毎月の積立(自動引き落とし)
- 教育費とは別に“将来資金口座”を用意
- NISA・iDeCoなど長期枠を活用
「気持ち」ではなく「仕組み」で貯まるように設計するのがポイントです。
■“貯まる家”がやっているお金の仕組みづくり
FPとして感じる“貯まる家”の共通点は、ルールがシンプルなこと。
たとえば──
- 教育費口座(入出金管理)
- 日常費口座(生活費)
- 貯蓄・投資口座(将来用)
を分けるだけで、家計の流れが整理されます。
また、夫婦で「月に一度の家計ミーティング」を行うと、
教育費の方向性や優先順位をすり合わせやすくなります。
教育費は、“家庭の価値観が表れるお金”。
だからこそ、家族で話し合い、「納得して使う」ことが最大の節約になります。
共働きでも、家計の流れを整えれば“貯まる家庭”になれます。
お金の流れを「見える化」して、「仕組み」で貯める。
それが、教育費の波を乗りこなす第一歩です。