2025.10.8 <00927>
「教育費、毎月いくら積み立てればいいですか?」
これは、FP相談の中でも非常に多い質問です。
しかし実際には、“積立金額”よりも先に考えるべきことがあります。
それは──「いつ、いくら必要か」を明確にすること。
■教育費は「ゴール」から逆算する
教育費は“期間”が長いお金。
幼稚園から大学まで約20年近く続きます。
そのため、「とりあえず月1万円」では、最終的な到達額が見えにくいのです。
例えば、
- 大学入学時(18歳)に300万円必要
- 今、子どもが3歳
とすると、あと15年間で貯めるには月約1.7万円の積立が目安。
「1人あたり300万円」を“1つのゴール”として逆算することで、家計全体の見通しが立ちやすくなります。
■貯め方の3ステップ:短期・中期・長期で考える
教育費は「使う時期」が明確なので、期間ごとに貯め方を変えるのがコツです。
| 期間 | 目的 | おすすめの貯め方 |
|---|---|---|
| 短期(〜5年) | 習い事・塾代など | 普通預金・定期預金 |
| 中期(5〜10年) | 高校・大学入学金 | 積立定期・つみたてNISA |
| 長期(10年以上) | 大学資金・留学など | 投資信託・新NISA・学資保険 |
すべてを“現金貯金”にすると、物価上昇で価値が目減りする可能性も。
一方で、すべてを“投資”にすると、相場の変動でリスクもあります。
だからこそ、**「貯め方を分ける」**ことでバランスが取れるのです。
■“毎月の積立”でどこまでカバーできる?
仮に、大学入学までに300万円を目標にすると──
| 期間 | 毎月積立額 | 想定利回り(年) | 到達額(概算) |
|---|---|---|---|
| 18年 | 1.4万円 | 0%(預金) | 約300万円 |
| 18年 | 1.2万円 | 2%(投信) | 約320万円 |
| 18年 | 1万円 | 4%(投信) | 約340万円 |
つまり、運用を取り入れると“同じ積立額でも数十万円の差”が出るのです。
教育費は「時間を味方につける」ことが何より大切。
早く始めるほど、家計への負担は軽くなります。
■教育費を貯めながら家計を守るコツ
教育費の積立は、「家計の中で継続できる金額」に設定するのがポイントです。
最初に張り切って多く積み立てすぎると、途中で苦しくなりがち。
目安としては、手取り収入の5〜10%以内に収めると無理がありません。
また、
- ボーナスの一部を教育費専用口座に入れる
- 児童手当を全額貯蓄に回す
などの“仕組み化”も効果的です。
続けることが何より大切なので、**「自動化」と「別口座管理」**がカギです。
■FPがすすめる「教育費×ライフプラン」の考え方
教育費は、単独で考えると家計のバランスが崩れやすい費用です。
老後資金や住宅ローンとの“トリプルバランス”を取ることが、長期的な安心につながります。
教育費に“正解の金額”はありません。
大切なのは、**「子どもの未来」と「自分たちの暮らし」**の両方を大切にできるペースで貯めていくこと。
そのために、キャッシュフロー表で可視化することをおすすめします。
教育費は“心の安心”につながるお金です。
焦らず、コツコツと──家計の流れを整えながら未来に備えていきましょう。